廃業・倒産の波が波及する?

新貸金業法の施行によって、上限金利は29.2%から一気に15~20%にまで下がることが決まっており、アイフル、アコム、プロミスといった消費者金融は、新規融資を絞っている。

消費者金融やカード会社が一気に与信を絞ったため、個人債務者の資金繰りが急速に悪化している。

これは貸金業自体がビジネスとして成立しなくなっていることも示唆する。政策的対応がなければ、廃業・倒産の波が業界全体に波及するのは時間の問題かもしれない。

減らない過払い請求、止まらない業容縮小

消費者金融業界は利息制限法(年率15~20%)を超えて顧客から受け取った利息(過払い金)の返還ラッシュに見舞われている。

過払い返還請求が一段落したとしても、今度は不良債権問題が待ち受ける。消費者金融各社の収益を下支えしてきた「借り回り」――A社からカネを借りてB社の債務返済に充てる自転車操業――がパッタリと止まっており、今後はドミノ倒しのような融資焦げつきが表面化する恐れがある。

また、顧客1人当たりの融資金額を制限する「総量規制」が始まる。アイフルの借入金残高は、この半年でなんと1000億円以上も減少した。それでも資金繰りが回っているのは、すさまじい貸し出し縮小に直面しているからだ。総量規制の実施によって、業容縮小が加速することはあっても、止まることはない。

CFJ、21日から上限金利引き下げ

米シティグループ系で「ディック」のブランドで営業している消費者金融会社、CFJは、新規顧客向けの上限金利を現在の22.88%から17.88%に引き下げると発表。21日以降に契約する顧客が対象。2009年末にも法定上限金利が29.2%から15―20%に引き下げられるのをにらみ早めの対応。

消費者金融大手ではアコムが6月に上限を18%に下げたほか、アイフルも8月に20%に引き下げた。

消費者金融大手4社、貸付残高1割減

消費者金融大手4社の貸し出しが減り続けている。09年にも予定されている貸出金利の上限引き下げに備え、各社とも返済余力が低い客への融資を手控えているためだ。

07年4~6月期連結決算では、一般企業の売上高にあたる営業収益が4社とも前年同期を下回り、市場が縮み始めている現状が改めて浮き彫りになった。融資の申し込みが契約につながる「成約率」が下がった影響で、利益の源泉となる営業貸付金の残高は4社全体で1割近く減少。これにともない、利息収入が減少した。

当期利益はアイフルを除いて前年同期を上回った。店舗の閉鎖や人員整理などのリストラによるコスト削減のほか、前年に過払い利息の返還請求に備えて引当金を大幅に積み増した影響が、今年はなくなっている効果が大きい。

貸出金利上限下げ「18%以下」広がる

2009年末にも予定されている改正貸金業法の全面施行を控え、クレジットカードや消費者金融業界で、個人向けローンの貸出金利の上限を引き下げる動きが一段と広がってきた。

アコムなどに続き、アイフルも8月から新規客向けキャッシングを28%台から20%にする。上限金利下げは収益悪化につながるが、前倒しで引き下げることで、利息返還請求の長期化を避ける狙いがあると思われる。

消費者金融生き残り戦略

上限金利が年20%へと引き下げられる3年後をにらみ、業界各社の生き残り戦略は、新規事業への参入や優良客の確保で生き残りを目指す「多角化派」と、大幅な事業縮小による「縮小均衡派」に大きく二分された形となった。

大手のうちプロミスに、アコムと武富士を加えた3社は、有人店舗の閉鎖を少なめに抑えつつ、事業多角化や優良客確保で、生き残りを図る戦略。

一方、外資系2社は早々に事業規模を縮小した。「ディック」ブランドで営業する米シティグループ傘下のCFJは、有人店舗の8割を削減。。「レイク」を展開するGEコンシューマー・ファイナンスも、有人店舗を6割以上減らす。業界最大手のアイフルも8割近い有人店舗の削減など大胆な合理化策を発表している。

「融資お断り」2人に1人

大手消費者金融会社の融資の審査が厳しくなってきた。武富士、アコム、プロミス、アイフルの大手4社で、新規の借り入れ申し込みに対する承認率は昨年12月で平均44%となり、昨年4月から16ポイント低下。2人に1人以上の確率で貸し出しを断った。2009年末にもローンの上限金利が現在の年29.2%から年15―20%に下がるため、返済能力の高い顧客に絞り込もうとしている。

アイフル、人員・店舗の大幅削減などの再編方針発表

 消費者金融大手アイフルは、同社グループの組織再編方針を発表した。法改正によって収益性の低下が見込まれることから、店舗の統廃合、グループの人員削減、消費者金融子会社4社のアイフルへの統合などに取り組んでいく。 店舗の統廃合では、現在存在する1,903店舗から1,000店舗へと削減する。不採算店を中心に有人店363店、無人店・簡易申込受付機540店を順次無人化・廃店により減少させるという。人員削減は正社員の希望退職400名程度、派遣社員等の合理化900名程度が対象。そして、アイフル子会社のトライト、ワイド、TCM、パスキーを、2009年3月をめどにアイフルに順次経営統合する。

 そのほか、新規のシステム開発の抑制、保守費用の見直し、屋上看板の順次撤去していくという方針も打ち出した。

 また、同社は今後の成長戦略の方向性も発表し、無担保ローン事業では、店舗統廃合等による業務効率化を図ると共に、新たな与信スコアリングモデルの構築を推進するとしている。